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Nov 25, 2019

text by Noriko Horikoshi

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東京・深川の名酒場「酒肆一村」のメニューで、ひときわ目を引く品名があります。
“店主の好きなオールドパー”
シングルモルトのスコッチからアイラまで一通りのウイスキーを嗜んできた大野さんが、
「最後に戻ってくるのは、ここ」と話すブレンデッドウイスキーのロングセラー。
2019年秋には、新しいブレンドによる「オールドパー18年」がリリースされました。
「オールドパー シルバー」「オールドパー12年」のラベルデザインも刷新されて新たな装いに。ここから新たな歴史を刻んでいくオールドパーの魅力、家飲みでも自在に愉しむためのヒントについて、店主の大野尚人さんに語っていただきました。


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ブレンデッド、シングルモルト、様々飲んできて「やっぱ、これだよね」と行きつくのがオールドパー、と語る「酒肆一村」店主の大野尚人さん。


-「酒肆一村」では、オールドパーは、いわば“ハウスウイスキー”と呼べる存在。お店だけでなく、プライベートでも長きにわたるお付き合いと伺っています。

大野 父親から2代にわたるファンです。オールドパーといえば、年輪を重ねたおじいちゃんが応接間で飲むイメージ。いぶし銀的というのか、カッコイイものの象徴みたいなブランドですね。子供の頃から、大人になったら飲みたいと、ずっと思っていて。その憧れの気持ちは、今でも変わりません。仕事を離れてバーで飲むとき、一杯目は必ずオールドパーの水割りから。店が終わった後に家で飲むときも、オールドパー12年が定番です。いつ飲んでもリセットされる高揚感があるし、飲み飽きない安穏さもある。自分にとって永遠の憧れであると同時に、基準の酒とも言える存在ですね。

- 数あるウイスキーの中でも、特別なウイスキーであり続けている。味わいの点から見た場合、その魅力は、どんなところにあるのでしょうか。

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ウイスキー好きな人は主張の強いシングルモルトに走りがちですが、その対極にあるやさしい旨味と言ったらいいのかな。誰にでも、どんな料理にも、スッと寄り添う懐の深さと包容力がある。自分もアイラをはじめ、クセも個性も強いシングルモルトを散々飲んできたからこそ、今は思います。「やっぱ、これだよね」って。
一方で、“居酒屋以上バー未満”を名乗る「一村」では、なじみやすい酒場感がありながらも、大衆酒場に寄りすぎない風格もほしい。そのへんの微妙なバランスをうまく取ってくれるのが、オールドパーというウイスキーなんですよ。

- 「和食に最も合うウイスキー」という言い方も、よくされていますよね。

大野 香りのクセが少ないからということもありますが、オールドパー自体に、昆布や鰹の和風出汁に通じる風味と旨味があるんです、不思議なことに。そして、出しゃばりすぎない、調和型の味わいであること。飲んだときに、きちっとおいしさが残る生真面目さ。そんなキャラクターが、和の料理としっくりなじむのだと思います。


- 普段はオールドパー12年をよく飲まれると伺いましたが、その理由は?

大野 ロック、水割り、炭酸割り、どんな飲み方でもオールマイティーに楽しめるので。でも、オールドパー シルバー、オールドパー12年、オールドパー18年、それぞれキャラクターの異なる良さがあり、おいしさを最大限に引き出す味わい方があります。

オールドパー シルバーは軽快な飲み口のハイボールで。シルバーの持ち味である柑橘のフレーバーと炭酸が、衣揚げやフリットのオイリー感をさっぱり流し、杯がすすむ。レモンピールを添えてより爽快感を出すのもよい。


たとえば、“シルバー”は若いアイドルのイメージ。コクよりも割った時の爽快感が引き立つハイボールで真価を発揮します。合わせる料理も、あまり複雑すぎないほうがベター。衣揚げやフリットのようなオイリーなつまみは適役ですね。油のこってり感を、シルバーならではの柑橘のフレーバーと炭酸でさっぱりと流すイメージ。スパイシーな味付けにも向いています。中華の四川系やインド系のスパイス、和風なら山椒といった具合に。


水割りは、水を注いだグラスにマドラーを沈め、ゆっくりと引き上げるだけ。水を加えることで調和が取れ、奥底の旨味を引き出す。


- そこへいくと、12年は?

大野 芸の幅が広く、存在感でもピカッと光る千両役者。派手なパフォーマンスはないけれど、「何でもこなせます」的な安定感で魅せるタイプ。先ほども言ったとおり、どんな飲み方でもいけますが、個人的には水割りを推したい。加水で薄めるのではなく、水を足すことで香りと旨味の調和が取れ、奥底の旨味が開いてくる。ストレートやハイボールでも味わえない、水割りならではの面白さです。
“シルバー”よりも味に複雑さがあるので、味噌などの発酵調味料や、出汁風味をきかせた味つけの肴が、俄然おいしくなってきます。ベースのウイスキーと水、つまみの旨味を口の中で薄く伸ばしていくイメージですね。口内調味で旨味を感じやすいアルコール度数は、日本酒やワインと同じ12度~15度と言われています。科学的にも、水割りは食事に合わせるウイスキーとして理にかなった飲み方なのかもしれません。

ふんわり湯気があがり芯から身体が温まる“オールドパー燗”はオールドパー12年がおすすめ。


- 水割りのアレンジとしてお湯割り、「酒肆一村」では独創的な“オールドパー燗”も提案されていますね。

大野 店に日本酒用の酒燗器を置いているので、割り水したウイスキーを徳利に入れて温め、提供しています。蒸留酒の香気成分は熱湯を直接当てると壊れやすいので、湯煎式でじわじわと熱対流させるほうがいい。旨味がゆっくりと開き、甘い香りも損なうことなく楽しめます。温度はお好みでかまいませんが、個人的にはキリッと熱めの70~80℃まで上げるほうが好みですね。温める飲み方も、ニュートラルな持ち味のオールドパー12年がいちばん向いていると思います。

複雑性、重厚感が真骨頂のオールドパー18年は、手を加えずにストレートまたはロックで、じっくりと向き合いたい。


- オールドパー18年は、この秋登場した新しいブレンデッドです。大野さんは、どんな飲み方を勧められますか?

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とはいえ、このクラスのウイスキーになると、何を合わせるかより飲むペースが大事ですよね。グビグビじゃなくて、ちびりちびり。氷が溶けるにつれて移ろう味の変化を追いながら、ゆっくりと、時間をかけて“嗜む”ことに価値がある。「オールドパー18年」は、そういうウイスキーです。

- ご自宅でオールドパーを楽しみたい人に、家飲みのためのおつまみの極意、ちょっとしたコツを教えていただけますか?

大野 オールドパーの特長として、まず“味わいのバランス”を挙げましたが、もう一つの大きな魅力は上質感だと思います。気品があって、大勢で飲むより、しっとりとパーソナルに味わうほうが向いている。料理も"大皿でドーン"より、小皿にちょん、と盛って出したい気分。個人的に一番ぴったりくるのは、蕎麦を手繰る前につまむ“蕎麦前”です。

オールドパーをハイボールで愉しむ食卓には、ラフだが気の利いたつまみが似合う。大野さん考案の絶品つまみ、テーブル中央左上から、油揚げに詰めて焼く“きつね焼き”をアレンジした「カレーコロッケもどき」、右の小鉢は「鯵の開き、なめろう風」、熱した胡麻油と醤油を効かせた「長葱とあおさ海苔の冷奴」。


たとえば、シルバーハイボールに合わせるなら、油揚げの中にカレ―味のじゃがいもを詰めて香ばしく焼いた一皿を。一見居酒屋メニュー定番の“きつね焼き”ですが、誰もが好きなカレーコロッケ風味で、オールドパー シルバーと相性のよいスパイシー感もちゃんとある。レトルトカレーでささっと作れる簡単さも、家飲みに欠かせないポイントですね。
12年の水割りの相棒に勧めたいのは、スモーキーないぶりがっこと小魚を梅肉であえたスピード小鉢。オールドパーの“出汁感”に梅の酸味が溶け込み、のびていって、上質な吸い物のような口内調味が生まれます。

水割りには、焼きおにぎりのパンバージョンをイメージした「葱味噌と大葉のトースト」(中央)や、「いぶりがっこといりこの叩き梅和え」を。

お湯割りには、季節の野菜を茹でて柚子胡椒とぽん酢でさっぱりいただく「季節野菜の柚子胡椒ぽん酢」。水割りにも合う。

お湯割りや、“オールドパー燗”のように、温め酒としてウイスキーを愉しむなら、冷菜よりも温かいおばんざい風の料理をつまみに、ゆるゆると。ここでも、つなぎ役としていい仕事をしてくれるのが、オールドパーがもつ“出汁風味”です。旬の蕪やキノコをさっと茹で、ポン酢であえるだけの簡単な一皿が、お湯割りと一緒に味わうや、手の込んだ炊き合わせに格上げされる不思議。晩酌の酒としてのオールドパーの奥行、実力を実感できる組み合わせです。

オールドパー18年には、あえてドレスダウンしたつまみを。大豆の水煮とあおさのり、刻みネギを辛子醤油で和えた「味噌豆」。

「オールドパー18年」を濃い目のロックでちびちび飲(や)りたい。そんな気分の夜は、ぜひ「味噌豆」をお伴に。下町の居酒屋によくある箸休め的な一品。こく味のある大豆にピリッと辛みのエッジをきかせていて、ロックとともに果てしなくつまめます(笑)。高級感のある“18年”だからこそ、あえてドレスダウンした江戸前風の肴で遊ぶ。オールドパーには、そんなこざっぱりした粋も、また似合う気がします。




◎ 酒肆 一村
東京都江東区深川2-1-2 岡野ビル2F
☎ 03-5875-9963

年中無休
東京メトロ、都営線門前仲町駅6番出口より徒歩2分





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